快適な住環境のために Step1-体感温度

快適な住まいの室内環境を考える上で知っておきたい大切なことが「体感温度」です。
今回は体感温度に影響を及ぼす4つの要因について書きます。

1.気温):空気の温度
 室内では室温と言われる。温度計の値

2.風速):空気の流れる速度
 空気の流れは「汗」を蒸発させ、体温を奪います。一般に風速が1m/秒増加するごとに、体感温度は1℃低下すると言われています。

3.湿度):空気中の湿気
 蒸し暑い日本の夏には、湿度は快適さを左右する重要な要素になります。湿度が上がることにより、体表面からの汗の蒸発が妨げられ、気温以上に「暑く感ずる」事になります。しかしながら、寒い時期には、湿度が高いと、逆に肌寒さを感ずることになります。この湿度による体感温度の逆転現象が起こる境目は、大体11℃前後と言われています。

4.輻射温度):壁・窓、天井などからの赤外線輻射の平均値
 空気を含め、あらゆる物体はその温度に対応して、分子(原子)が振動しています。これを「熱振動」と呼びますが、その振動が原因で周りに放射させるのが「赤外線」と呼ばれるエネルギー波(電磁波)なのです。
人間の体温は36℃程度ですから、これより高い物体から放射される赤外線は「暖かく」や「暑く」感じ、それより低いと「涼しく」や「寒く」感じます。

では体感温度は?
 室内ではほとんど風はありませんし、湿度も天候と気温によってほぼ決まってしまいます。
実際には室内での体感温度を決めるのは、大きく見ると気温と輻射温度の組み合わせになります。
ですから最近のエアコンには、室温と湿度の両方をコントロールしているものもあるのです。

<トピックス>
壁面冷暖房
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トンネルに入った瞬間何か「ヒンヤリ」します。年間を通じてほぼ一定である温度(15-6℃)であるトンネルの壁に、体から出る赤外線が吸収されるためです。
この原理を利用したのが、壁面冷暖房で、壁や天井に細いパイプを密に這わせ、その中に夏は井戸水程度の冷水を、冬は太陽光などで温めた30℃程度の温水を少量流すだけのシンプルな冷暖房です。
風の吹き出しが無いので、高齢者や病人にも優しいシステムです。