小さな会議室が完成したヨ

今日、本社の思いで浅からざる場所に、小さな会議室の改装が完成した。
その場所とは、父が創業して念願であった店舗併用住宅を建て、その一角
に作った4坪の事務所である。
思い出とは、19年前のこの事務所での苦い出来事なのだ。

20年程の取引があったお得意さんが、社長の放漫経営が原因で自転車操業
となり倒産の危機に面していた。
その社長が下請け業者と一緒に来社、(この時は2度目であった)
「頼む、手形のジャンプをもう一回してくれ」の再度の要求であった。
父は最回の要求は承諾しジャンプをしたらしいが、
「2度目はとても出来ない、なんとかして断らなくては」
と考えていたようである。
しかし、20年間の付き合いがあるお得意さんの切なる願い
を無碍には断ることは出来ないと困っていたらしい。

当時私は、その社長とはほとんど付き合いが無く、まだ活気盛んな頃で
あり、今よく使われている言葉である「自己責任」の追及は得意中の得意
だったことを知ってか、知らいでか、
「お前、うまい事言って断ってくれんか?」と頼んできた。

それなら俺に任せておけと言わんばかりに、
「あなたの要求は絶対呑めません、だって私たちも生活のために仕事してるんです。
人に仕事させておいて、手形ジャンプしてくれって?何虫のいい事言ってるんですか、
自分の放漫経営がたたっての倒産の危機?自分の身から出たサビでしょう!」

その後暫くして、その得意先は不幸にも倒産しました。

今振り返ってみると「情容赦なく、よくあんな事平気で言えたなあ」と思うのだが
今はその放漫経営社長に言った言葉を、自分自身の戒めとし「生活のための仕事」
のみならず、社員一人ひとりが「自己実現欲求を満たすための会社」とするよう
この苦き思い出の場所で決意を新たにした。